ご先祖様もみてるから

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お盆休み最中の8月14日に、現首相の次期自民党総裁選不出馬が伝えられた。日本では終戦記念日とされる15日の前日のことだった。各家々のお盆行事の習慣は廃れつつあるとはいえその最中、慰霊の日とも言える15日さえ、賑やかな日になってしまったことにモヤモヤしたのは私だけではないと思う。

お盆は、日本で夏期に行われる祖先の霊を祀る一連の行事のことを言う。日本古来の祖先信仰と仏教が融合した行事である。そのお盆の過ごし方は、地方によって様々なようである。8月13・14・15日の日取りさえ地域によって違いがある。私の故郷では、13日夕方の野火で迎え火を行い、15日夕方の野火を送り火とする。16日の京都の五山送り火が有名だが、灯籠流しで川へ送る風習もある。

お盆休みの帰省は、故郷を離れて暮らすことが一般化した昭和の後半から全国的にみられるようになったが、悼むべき故人に先の大戦で亡くなった親類縁者を共に加えて行うことも少なくない。供養に繋がる花火大会がこの帰省の時期に併せて開催されるのはそのためである。

実質日本の総理大臣を選ぶことになる自民党総裁選が、ここにきて異様な盛り上がりをみせている。普段は淡々と職務をこなされる姿しか目にしていなかった、各候補者のテンションの高さに私はついて行けないでいる。それが一国を動かしていくことへの各人の覚悟のあらわれだと思いたいが、候補者とその周りの人たちは「戦い」という言葉を多用する。

世界を見渡せば、実際に戦争がおきている。平和ボケと言われようが、戦争のない日々が続くことは何よりの幸せである。かつて日本のために戦った先人の思いを見失わないためにも、祖先信仰のこころを忘れないでいたい。困ったときに神様・仏様・ご先祖様と以前はよく口にしたものである。時に宗教の違いで戦争すら始まってしまうというのに、ご先祖様が神仏と同列である。この日本のいいかげんとも思える宗教との距離感は素晴らしいものだと思うし、祖先信仰が根付いていたから生じたものではないかと私は思っている。次の総理大臣が誰になろうとも、この日本の宗教との距離は大切にして欲しいと願わずにはいられない。

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